瞑想とは何か
瞑想というと、「何も考えずに座っていること」だと思われがちです。
実は、私もかつてそう考えていました。
けれどあるとき、氣功の先輩にこう教えていただきました。
「瞑想とは“変性意識状態”であることだよ」と。
それを聞いたとき、ハッとしました。
ただ静かにしているだけではなく、“脳と意識の状態”が切り替わっているかどうかが、本質なのだと。
では、変性意識とは一体なんでしょうか?
変性意識とは「没頭している状態」
変性意識とは、簡単に言えば「ひとつのことに深く没頭している状態」です。
たとえば、スポーツ選手が“ゾーン”に入っているときや、アーティストが夢中で作品を描いているとき。
周りの音が消え、時間の感覚がなくなり、自分と対象だけが存在するような感覚。
このような状態が、まさに変性意識です。
ですので、目を閉じて座っていても、思考が忙しく働いているならば、それは瞑想とは言えません。
逆に、歩いていても、呼吸や感覚に深く集中し、内側の静けさに入っていれば、それは立派な瞑想になります。
脳波から見る瞑想状態
脳の観点から見ると、瞑想中は明確に“脳波”が変化しています。
私たちが日常的に活動しているとき、脳はベータ波という周波数を出しています。
これは思考、分析、判断、緊張などをしているときに優位になる脳波です。
つまり、頭がずっと働いている状態です。
一方で、瞑想が深まっていくと、ベータ波は徐々に減り、アルファ波やシータ波といった別の脳波が優位になります。
アルファ波は、リラックスや安定を感じているときに出る波
シータ波は、夢うつつや深い内面への没入状態で出る波
瞑想中にこのような脳波が現れるということは、意識が外界から内側へと向かい、思考が静まり、深い安らぎに入っている証拠ともいえます。
日常生活の中の瞑想
瞑想とは、座禅や修行のような「特別なこと」ではありません。
日常の中でも、変性意識の状態に入ることは可能です。
たとえば、こんな場面も立派な瞑想です。
呼吸の感覚にだけ意識を向けて歩く
食事を五感でじっくり味わいながら食べる
手の感触に集中して皿を洗う
湯船の中で、呼吸と体の重みを感じる
大切なのは、「いま、ここ」に意識を置き、自分の内側に耳を澄ますこと。
それが自然に脳波を変え、心身のバランスを取り戻す助けとなります。
本来の自分に還る時間
変性意識に入る時間は、何かを得ようとする時間ではありません。
むしろ、余分なものを手放し、本来の自分に還っていくための時間です。
肩の力を抜いて、深く呼吸をし、ただその感覚を味わう。
その一瞬一瞬が、すでに“瞑想”なのかもしれません。
「特別なこと」をする必要はありません。
少しずつ、自分に合ったやり方で、内側とつながる習慣を持ってみてください。